大谷知子

子供の足と靴のこと

連載51 ドイツの子ども検診手帳“黃色手帳”のこと その二

●“爪先余裕は少なくても1㎝”と書いてある!
では、どんなことを検査しているか。それがいちばんの問題です。
まず、どんなサイクルで検診を行うか。日本の母子健康手帳は出生時の記録から始まり「生後1週間以内」「生後1〜4週間」「生後1か月」「生後3〜4か月」「生後6〜7か月」「生後9〜10か月」「1歳」「1歳6か月」「2歳」、その後は1年ごとに「6歳」まで続きます。
ドイツは出生時の記録の後は「U2」から「U9」まで九つに分けられ、対象の年齢は、次のようになっています。
U2:3〜10日
U3:4〜5週
U4:3〜4ヵ月
U5:6〜7ヵ月
U6:10〜12ヵ月
U7:21〜24ヵ月(1歳9ヵ月〜2歳)
U7a:34〜36ヵ月(2歳10ヵ月〜3歳)
U8:46〜48ヵ月(3歳10ヵ月から4歳)
U9:60〜64ヵ月(5歳〜5歳4ヵ月)
そして、肝心の検査項目です。
「U2(生後3〜10日」を見ると、姿勢、運動機能、筋肉の状態、視覚や聴覚が正常か、また代謝やホルモン系の疾患を発見するための血液検査等々、多岐に渡ります。
足の関係はというと、「U2」に既にあります。「手足」の項のチェック項目として次のようにあります。
・関節の可動性
・変形や奇形(例:内反足、踵の足、鎌の足)
前者は、股関節脱臼の有無を言っていることは明らかです。後者は、内反足はよく知られる足の異常。「踵の足」が「踵足(しょうそく)」を意味するなら、爪先が浮き、踵だけ接地した状態。「鎌の足」は、鎌のような形を呈した足とするならば、足が内側に曲る内転中足や内反中足を意味しているのかもしれません。
日本でも股関節脱臼の有無のチェックはありますが、「生後3か月」においてです。ドイツの方がずっと早い時期から検査し、股関節脱臼以外の内反足なども行っています。
そして、ドイツの「黃色手帳」は靴への言及もあると聞いていました。果たして、どうか。
ありました!「u7(21〜24ヵ月=1歳9ヵ月〜2歳)の「手足」の項に、次のようにあるのです。
・X脚、もしくはO脚
・靴は正しいか(足の親指と靴の爪先の間に少なくとも1㎝の余裕があるか、柔軟なソールか)
適正な爪先余裕やソールの材質を聞いているのです。流石、WMSの国と言うしかありません。
しかし、です。
話は、ここで終わりません。それは、次回に譲ります。

大谷知子(おおや・ともこ)
靴ジャーナリスト。1953年、埼玉県生まれ。靴業界誌「靴業界(現フットウエア・プレス)」を皮切りに、靴のカルチャーマガジン「シューフィル」(1997年創刊)の主筆を務めるなど、靴の取材・執筆歴は約40年。ビジネス、ファッション、カルチャー、そして健康と靴をオールラウンドにカバーし、1996年に出版した「子供靴はこんなに怖い」(宙出版刊)では、靴が子どもの足の健全な成長に大きな役割を果たすことを、初めて体系立てた形で世に知らしめた。現在は、フリーランスで海外を含め取材活動を行い、靴やアパレルの専門紙誌に執筆。講演活動も行っている。著書は、他に「百靴辞典」(シューフィル刊)がある。