大谷知子

子供の足と靴のこと

連載-100- 弟のちいくんは、ぷっくり足です。

公開日: 2026.5.28

 そうちゃんとちいくん、孫兄弟のお話です。
 お兄ちゃんの足は、やや甲が低い。ファーストシューズを作ってもらう時、気づきました。言ってみれば、今どきの子どもの足です。
 弟くんは、歩き始めた時、既製のベビーシューズを買ってみました。履かせてみると、面テープの重なりがギリギリ。お兄ちゃんと違い、甲が高いようです。
 履かせられないことはありませんが、力の入り方によっては、ベルトが外れてしまいそうで怖い。はて、どうしよう…。

 思いついたのは、製造メーカーに聞くことでした。いくつかのモデルが発売されているので、聞いたのは、その中に甲が高めのモデルがないかどうかでした。
 問い合わせフォームから質問すると、すぐに答えが来ました。以下、その内容です。
 足囲は、2サイズ展開となっており、「STANDARD」と表記されたものは「2E~3E相当」、「NARROW」と表記されたものは「E相当」となります。
 それは分かっていたのですが、聞きたかったのは「2E~3E相当」の中に甲を高めに設定しているモデルがあるかどうかでした。
 質問の意図が通じなかったか、販売担当は回答以上の情報を持っていないか…。これ以上、聞いても、望む回答は得られないと判断しました。
 そして弟くんの靴も、お兄ちゃんと同じように知り合いの職人に作ってもらうことにしました。

●甲の高さ指数を出してみました。

 では、既製品で甲の高い足に対処するには、どうしたらいいのでしょうか。
 日本の靴サイズは、JIS(日本産業規格)で定められており、足長と足囲、もしくは足幅の組み合わせで、子どもは「B〜G」まで9種類が定められています。
 甲の高さの規定はありませんが、足囲を足幅で割ると、甲の高さの指数のようなものが得られます。そこで、JIS靴のサイズ子供用から任意の足長を選び、甲の高さ指数を出してみました。
 それが、下の表です。

 まず気づくのが「11.0㎝」「12.0㎝」、つまりベビーサイズでは「E」や「EE」でも、甲の高さ指数が「2.50以上」だということ。これは、まだ歩き始めの段階では、足はじん帯や筋肉の発達が弱く厚い脂肪で被われており、ぷっくりした形状だからだと思わます。
 そして当然といえば当然なのですが、足囲・足幅が大きくなると、甲の高さ指数も上がる。だから甲が高いなら足囲・足幅が大きな靴を選べばいいものの、「EEEE」以上を製品化している子ども靴などない…。
 現実的には、足長が適正より一つ大きなサイズ、同時にヒモ締めを筆頭に足が靴内部で動かないように固定できるデザインを選び、靴と足の踵をしっかりと合わせて履くようにするという方法しかなさそうです。
 それと製造メーカーやブランドによって、同じ足長や足囲・足幅でも足入れが違う。つまり大きかったり、小さかったりするので、売り場で実際に試し履きをして、適正なものを選ぶ。これが、最良の方法かもしれません。
 履き比べさせているうちに、甲が高いに限らず、お子さんの足にフィットするメーカーやブランドが分かってくるかもしれない…。履き比べは、大事です。
 作ってもらうというのは、気心の知れた職人がいるという環境に甘えていると言えなくもありません。今度、ちいくんと靴売り場に行って履き比べをして、ちいくんにフィットする靴を探してみようっと。

大谷知子(おおや・ともこ)
靴ジャーナリスト。1953年、埼玉県生まれ。靴業界誌「靴業界(現フットウエア・プレス)」を皮切りに、靴のカルチャーマガジン「シューフィル」(1997年創刊)の主筆を務めるなど、靴の取材・執筆歴は約40年。ビジネス、ファッション、カルチャー、そして健康と靴をオールラウンドにカバーし、1996年に出版した「子供靴はこんなに怖い」(宙出版刊)では、靴が子どもの足の健全な成長に大きな役割を果たすことを、初めて体系立てた形で世に知らしめた。現在は、フリーランスで海外を含め取材活動を行い、靴やアパレルの専門紙誌に執筆。講演活動も行っている。著書は、他に「百靴事典」(シューフィル刊)がある。