大谷知子

子供の足と靴のこと

連載97 「ちいくんが、歩き始めました!」

1歳2カ月になる2人目の孫、ちいくんが、歩き始めました!

1歳の誕生日を過ぎた頃、1歩が出せる感じになり、それから2歩、3歩。日に日に歩ける歩数が伸び、今では居間をあっちに行ったり、こっちに行ったり、気持ちの向くままに歩き回っています。

ヨタヨタ、ヨチヨチ…、両腕を開き気味にしてバランスを取りながら笑みを浮かべて、私の方に歩いてくる。可愛いったらありません。

足は、どうなっているんだろう。

歩いている、ちいくんの足を見ました。

わっ、指に力が入っている!

その時、ちいくんのママが言いました。「よく爪にヒビが入るんです」。

赤ちゃんの爪は、薄い。歩く度に、指にこんなに力が入っているのだから、ヒビが入って当然です。

もう一つ、気づいたことがあります。

小指が外側に転んで、指の側面が床に着いている。寝指と言うんでしょうか。そんな状態になっています。

「赤ちゃん 寝指」と入れてネットで検索してみると、内反小趾だとするものも。ええ〜っ???

歩いているちいくん

歩いているちいくん

●アーチが、まだ機能していません

歩く時、足はどんなふうに動いているかというと、まずカカトのやや外側で着地します。その後、重心は、足の外側を通り、小指の付け根辺りに達すると、親指の付け根方向に横断し、指の先から抜けます。

つまり、足は、くねるように動いている。これをローリング運動、あるいは指の付け根が曲がり蹴り出すことから“踏み返し”と言ったりします。

そして、なぜ足がこのように運動できるかというと、アーチがあるからです。

アーチとは、足の裏の窪み。足の内側、外側、それに指の付け根を横に走る、骨の弓型の並びが三つあり、三つのアーチによって、足はドーム型の構造になっています。この構造がバネのような働きをし、体重を支え、歩いた時の衝撃を吸収し、さらには歩きに推進力をつけています。

スタスタと歩けるのは、このドーム構造があるからです。

赤ちゃんにも、骨の弓型の並びはあります。でも、骨自体が小さく、かつじん帯や筋肉が発達していないため、体重が掛かると潰れてしまい、ドーム構造によるバネの働きをしていません。

●指が、未熟な足を助けています

ちいくんの足の運びを見ると、両足ともにやや外向きに足を出しています。言ってみれば、逆ハの字のような形です。

これが、アーチが機能していない証拠であり、それでも転ばずに歩けるように働いているのが、指。指に力を入れて、地面や床を捕まえているのです。

さらに言えば、外側に転んだ指は、内反小趾などではないと思います。

アーチが機能しておらず、体重を足に真っ直ぐに掛けられず、小指側への荷重が高くなっているので、小指が外側に傾いてしまっているのです。

アーチがしっかりと形成され、足に体重をバランス良く掛けられるようになると、小指は真っ直ぐになっていきます。

ちいくんは、靴を履いてお外を歩くことをまだほとんどしていませんが、近いうちに靴を履いて歩くことになります。靴が不適切な作りだったり、足に合っていないと、指の動きを妨げ、歩きがより不安定になってしまいます。

だから歩き始めの時から正しい靴を、適切なフィッティングで履かせることが大事です。

ちいくん、身をもって教えてくれて、ありがとう!

大谷知子(おおや・ともこ)
靴ジャーナリスト。1953年、埼玉県生まれ。靴業界誌「靴業界(現フットウエア・プレス)」を皮切りに、靴のカルチャーマガジン「シューフィル」(1997年創刊)の主筆を務めるなど、靴の取材・執筆歴は約40年。ビジネス、ファッション、カルチャー、そして健康と靴をオールラウンドにカバーし、1997年に出版した「子供靴はこんなに怖い」(宙出版刊)では、靴が子どもの足の健全な成長に大きな役割を果たすことを、初めて体系立てた形で世に知らしめた。現在は、フリーランスで海外を含め取材活動を行い、靴やアパレルの専門紙誌に執筆。講演活動も行っている。著書は、他に「百靴事典」(シューフィル刊)がある。